第四次幻想圏銀河急行 412012/08/27 16:36




噴きあがる
8万度の炎
太陽紅炎(プロミネンス)

青の
プロミネンス

青嵐は
大いなる
球面を
かすめて
すぎる

とんぼ2012/08/23 16:32


とんぼが
そろり
おそらに
ういたよ

するする
みえないさかを
とんぼが
すべりおりる

ふわり
くうきをけって
はずむよ
とんぼ

めにうつる
おそらのうみを
およぐよ
とんぼ

きんいろ
おふとん
ねむるよ
とんぼ

ゆうやけ
まっか
あしたも
はれる
とんぼ
とんぼ
きのうのそらに
鬼おいてこい
あしたのそらから
鬼灯(ほおずき)とってこい

それは2012/08/12 17:28




それは
かたち
であるよりも
うろ
あるいは
くぼみ

それは
こたえ
であるよりも
とい
あるいは
なぞ

それは
つよさ
であるよりも
よわさ
あるいは
はかなさ

それは
それ
であるよりも
わたし
あるいは
あなた

それは
たとえば
ゆきにおちた
つばき

それは
たとえば
ゆにとびこんだ
つき

それは
たとえば
なつのゆうべの
ひぐらし

それは
たとえば
沖にさした
あけぼの

それは
たとえば
わたし
そして
あなた

はるの宵2012/07/23 17:58


はるの宵
しのびきたりて
つちをはう
くつあとの
かかとのやみ
てんてんと
とび火するごと
もえはじめ
やがて
宙(そら)に
すみいろの
うすごろも
きせたるがごとし。
しずかなるうち
くれくれて
ゆびさきの
しろきさえ
ぎんがのやみの
あやめとなりて
ほしみな
はるの夜の
胃の腑へと
おちにけり。

ほたる2012/07/09 18:10



きみが
まだほたるをみたことがないって
いつかいってたのをおもいだして
もうシーズンもおわりかけていたけど
ぼくは
なかば強引にきみをさそい
車を駆り
山をわけいり
とある清流をおとずれた。
日暮れをまって
ぼくたちはほたるをさがしに
流れをめぐった。
けれどあいにくその夜は
肌ざむいほどの気温で
とてもほたるになんか
お目にかかれるとはおもえなかった。
ふたりはしだいに無口になっていった。
山からおりてくる
狂暴な闇に
おしつぶされそうだった。

「かえろうか…」
ぼくがいった。
川ぞいのみちを
おもたいあしをひきずりながらあるいた。
しばらくして
きみのすがたがないことにぼくはきづいた。
「どうかしたの?」
ぼくはさけんだ。

「シーッ、ひかってる…」
下からきみの声がした。
みるとたしかに
ひとつだけ
あおいちいさなひかりが
ゆっくりと明滅をくりかえしながら
闇をのぼってゆく…
「とんでるほたる、はじめてみた…」
きみがぽつりといった。

とおい闇のはてに
没してみえなくなるまで
ぼくたちはじっと
そのしずかなひかりの明滅を
みおくった。