ひとりごと2013/02/04 23:04




「しょうがないやつだなあ…」
とは
しょっちゅうおもうけど
「だからきらい。」
とはおもわない
きみもぼくのこと
そんなふうにおもってくれてるのかな

きみと2013/02/04 23:01




こどもはおやをえらべない
おやだってこどもをえらべないよね
うまれてきたこが
わがこ
かけがえのない
わがこ
べつのこだったら
なんておもえない。
そんなふうに
なにかにえらばれて
きみとぼくは
こうしているんだよ
きっと
ぼくはそんなきがするんだ

神話のじだい2012/11/19 15:02


愛知県半田市富士ヶ丘1-1
いまおれがたつこのばしょは
はたしてそこにまちがいないのか
いちじくのきがない
まつのはやしがない
ススキのはらっぱがない
ため池がない
つゆくさも
あじさいもない
うしごやも
とりごやもない
フジのほえるこえも
ミーコのぴんとたったしっぽもない
にわのさんりんしゃも
こやにかけたタモもない
それでも
このばしょにまちがいないのか

「おなじばしょなど
 ありようがないさ
 この銀河系にしてからが
 静止しているものなど
 ひとつとしてそんざいしない
 じかんとともに
 くうかんもまたうつりかわる
 それがうちゅうのことわりだ」

たしかにそうだ。
まして、いまとなっては
愛知県半田市富士ヶ丘1-1
などという住所は
そんざいしないのだし
あたりのようすも
すっかりかわりはてた。
だが
だ、
それでも
ここにちがいない
と、おれはおもう。

おれはおぼえている。

うまれてはじめて
ははおやに
はなの名を問うた
つゆくさ。
すずやかな
ぎんのかんむりをいただく
あさつゆの妖精のすがた

ひとりかえる
あめのみち
めにとびこんできた
にじいろの眩惑
5才のおれは
ぼうぜんと
たちすくんだ
ぬれそぼる
あじさいが
ささやきかける
まほうのことば

はなれたきしから
いきをころし
しのびよる。
まいにち
幼稚園のかえりみち
むねにこみあげる
あついものをおさえながら
みつめていた
うつくしい群れ
おれは
おもいをばくはつさせ
はしる
うつくしい群れへむかい
そして
しゃにむにかきいだく。
まきおこる叫喚と
こんらんのうずのなか
頬にかんじた
わたげのぬくもりと
みずしぶきのつめたさと

重機にけずりとられた
あかつちのおか
おやじとさんぽする
ごがつのあさ
このうちゅうについて
おやじがはなしている
ふたりしてみあげる
あおいそらに
ぽっかりうかんだ
のこんの月

もりのおくに
うずくまっていたものは
だいじゃの
たまごをだくすがた
その
まがまがしい
めのひかり

うちおとされた
ことり
おもくたれた
まぶたと
まっかにさけた
はらと

すべては
このばしょにきざまれたきおく
それは
神話のじだいのできごと
ばしょが
ときをはらんでいる
ときが
ばしょをはらんでいる
ときとばしょとが
未分化な
いまだちつじょさだまらぬせかい
ぷくぷくと
芽だつ意味が
ふきだしてははじける
マグマのじだいのできごと

あれからいくたび
あじさいをみたことか
あれからいくあさ
そらに月をさがしたろう
あれからいくつ
ほしいものをてにいれたろう
あれからどれだけ
おそろしいものにであったか
けれど
あのころのきおくだけは
ほかとまぎれることのない
とくべつなきおく
いや、
きおくの枷からさえじゆうに
ときもばしょもこえて
いまもそのままに
いきつづける神話なんだ。

愛知県半田市富士ヶ丘1-1
おれはいまもそこにたちつづける
さめてかたまった
地殻のようにみえるふうけいの
じめんいちまいしたには
かわらずマグマが
おとをたててにえたぎっている
そしてときにかたい地平をひきさき
血のようなどろをふきあげるのだ
あしたやってくる
神話のじだいのために。

2012 夏2012/10/07 14:32



いものつるを
れつをなして
ありがはう
ひでりのなか
かかしは
てんでんに
かたむいて
てんをあおぐ

2012ねん
ふくしまのやま
ふくしまのくも
ふくしまのそら
ふくしまのうみ
ふくしまのなつ

嫁姑2012/10/01 16:30

ことしの夏
81になるおやじが入院した。
それでおれは
嫁をつれて帰省することにした。
結婚して2年
おれは
なるべく、嫁とおふくろとを
接近させないよう
気をつかってきた。
なにしろおれのおふくろときたら
国道をうんてんちゅう
ひだり車線からいきなり
右折しようとして
うしろからきた軽自動車を
横転させた経歴のもちぬしで
しかもいっさい
じぶんの非をみとめず
「わたしはわるくない」
で検分もおしとおした女だ。
一事が万事で
いつもまわりはふりまわされ
しんけいをすりへらすことになるのだ。
また、幸か不幸か
このおふくろ
生まれもって強運で
くだんの軽乗用車も
いったんよこだおしになったものの
中央分離帯の植木にはねかえされ
ひょっこりおきあがり
車両は廃車ながらも
運転手のわかいおんなのひとは
かすりきず程度ですんでしまった。
おかげで猛省をうながす周囲のこえも
いまひとつ
はがゆさをのこすところとなった。
いっぽう嫁のほうはといえば
運命のいたずらか
いや、
のがれがたく心身に刻印される
親子の因縁によるものか、
遠ざければ遠ざけるほど
四肢はからめとられるおぞましい蜘蛛の罠の
まんまんなか
おれはまんまとおちた。
おふくろとこれまたそっくりの
業ふかき女。
ならびたつはずのない
きょうれつな磁気をおびた二物が
おれをはさんで
対峙している。
宇宙がゆがんでみえたのもなっとくがゆく。
平和のため
おれにできることといえば
両者をなるべくちかずけないことだけだ。

実家に到着すると
さっそくおふくろが
あれもこれもと
嫁の口へ強引に食い物をおしこんでいる。
さほどハラのへっていない嫁は
すぐに音をあげ
「もう胸やけがするので…」
としりぞけようとする。
が、そんなことにはおかまいなしに
おふくろはこんどは嫁に
センベイのふくろをさしだす。
「ちょっと気もちがわるいので…」
嫁が必死にこばむ。
おふくろのことばがとまった。
おふくろはうつむき
だまってセンベイのふくろをやぶる。
そうしてセンベイをいちまいとりだすと
むねのまえではんぶんにわる
はんぶんをじぶんのくちに
もうはんぶんを嫁の手に。
ふたりはぼりぼりと
無言でセンベイをかじっている。